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- マグネットの野球日記2008.9.28
- 青柳いづみこ ドビュッシー・シリーズふたたび 第4回
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2008.09.27 Saturday今日は青柳いづみこさんのコンサートに行ってきました。
プログラムは・・・
ドビュッシー:前奏曲集第1巻全曲
前奏曲集第2巻全曲
青柳さんはピアニストであると同時に文筆家でもあり両分野で高い評価を受けています。
また、ドビュッシー研究で博士号を取得されています。
私は青柳さんの著書を何冊か読んだことはあったのですが演奏を聴くのは初めてでした。
いや〜、驚きました。
今日のコンサートは「音楽と美術のコラボレーション 伊砂利彦の型絵染作品とともに」と銘打たれていて、伊砂氏がドビュッシーの前奏曲集全24曲にヒントを得て制作した24枚のパネルを前に演奏を行うとなっていたのですが、私はせいぜいロビーに伊砂氏の作品パネルを展示しているぐらいだろうと考えていたました。
確かにロビーには伊砂氏の作品が展示してあったのですがステージを見てビックリ!
ステージ上には伊砂氏のデザインによる着物が2枚展示されており、ステージ後方にはスクリーンが吊下がっていました。そして、曲ごとにそのイメージで作られた伊砂氏の作品をスクリーンに映して演奏するというまさに音楽と美術のコラボレーションでした。
そんな素敵な雰囲気の中で青柳さんの演奏も素晴らしく第1曲目を弾き始めた途端にドビュッシーの世界に引き込まれてしまいました。特に和音の響きが美しかったです。前半最後の曲「ミンストレル」では曲の終りで顔を客席へ向けてニッコリ笑顔で曲を終わらせました。後半も多彩な音色と響きでドビュッシーの世界を楽しませていただき、あっという間に本プログラムが終了。
舞台袖へ下がった後マイクを持って再びステージに登場。ここからは青柳劇場第2幕といった感じでした。まず、伊砂氏の作品について丁寧に説明してくださいました。そして水をイメージした作品を紹介してアンコールを1曲。
ドビュッシー:水の反映
弾き終えるとさらに伊砂氏の作品の説明を続け今度は、「全く関係ありませんがショパンのノクターンを弾きます」と言ってアンコールの2曲目としてあの有名な・・・
ショパンのノクターン作品9−2を演奏。
このショパンのノクターンは実は近く発売予定の青柳さんの新譜に収録されていてこの録音のことについて話し始められたのですが、この録音は知的障害児福祉施設・滝乃川学園の礼拝堂にある「天使のピアノ」で演奏しているのだそうで、この「天使のピアノ」は美智子皇后さまも大変関心を持たれているとのこと。このあたりについても詳しく話して下さいましたが長くなってしまうのでこちらをごらん下さい。
その後はこの新譜に収録されている曲から3曲
ラザール・レヴィ:子守歌
美智子皇后陛下の作詞による「ねむの木の子守歌」(小原孝編曲によるピアノ版)
シューマン:トロイメライ
以上で演奏会終了。
いかにも青柳さんらしい素晴らしい演出の素敵な演奏会を楽しみました。
美しい盛りつけの美味しいコース料理で満腹になった上にお土産まで頂いた気分です。
- 望月優芽子 ピアノ・リサイタル
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2008.09.23 Tuesday今日は望月優芽子さんのピアノリサイタルへ行ってきました。
望月さんはフランスのランス在住のピアニストで今年のハイドシェック日本ツアーの際に私が大変お世話になったchacahtさんのご友人でもあります。
このコンサートは「オフィス設計コンサート」と題されてまして株式会社オフィス設計さんが主催されてます。コンサートは13:00からと16:00からとの2回あって私は13:00からのコンサートに行きました。
会場は六本木の泉ガーデンタワー34階。オフィス設計さんがあるフロアのモデルオフィスのようなところだったのですが、会場の外に面している2面は全てガラス張りで自然の光を取り入れていてとても明るく東京タワーや東京湾、方角を変えれば国会議事堂が一望できるまるで空中庭園を思わせるところでした。
会場からの景色
そんな素敵な環境でのサロンコンサートで座席数にして多分120〜130席位だったと思いますがほぼ満席。サロンコンサートは久しぶりだったのですが演奏者を身近に感じることができ全体的にアットホームな印象のコンサートでした。
プログラムは・・・
バッハ フランス組曲第4番
ショパン ノクターンOp27ーNo1,No2
ラヴェル ソナチネ
グラナドス スペイン舞曲集から3曲
ゴイェスカス組曲から3曲
アンコールに1曲 ドビュシー 「ベルガマスク組曲」から【月の光】
最近行ったコンサートはゲルバー、ハイドシェック(3回)、レーゼルとすべてオールベートーヴェンプログラムだったので久しぶりにベートーヴェン以外の曲を聴いて心が洗われたような気がしました(笑)
望月さんのピアノの音色もとても美しく休日の昼下がりの穏やかなひとときにピッタリ(選曲も含めて)。素敵な時間を過ごすことができました。
特にグラナドスはご本人も「最近ハマっている」とおっしゃっていたのですが作品への共感の度合が深かったように思います。
終演後はなんと!望月さんご本人が出口でお客様をお見送り。
その際図々しくも声を掛けさせていただいたのですが笑顔で丁寧に対応していただきました。見知らぬお兄さんオッサンにいきなり声を掛けられて驚かれたことと思います。
大変失礼しましたm(_ _)m
とにかく清々しい気持ちになったことは確かです。
- レーゼル ピアノ・リサイタル
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2008.09.20 Saturday今日は紀尾井ホールへ ペーター・レーゼルのリサイタルに行きました。
コンサートに行くのは6月8日のハイドシェックの相模原公演以来です。
レーゼルは1945年生まれの旧東ドイツ出身のピアニストで、
イメージはかなり地味ですが演奏は滋味豊かで大変な実力者です。
昨年30年ぶりの来日リサイタルを行い好評を博しました。
私は都合がつかず涙を呑んだのですが・・・
演奏スタイルは作品に真正面から取り組み楽譜に忠実に演奏します。
構成力も抜群で作品の素晴らしさを浮き上がらせてくれます。
現役のドイツ人ピアニストではナンバーワンかもしれません。
そのレーゼルが今年から4年連続で来日し、全8公演のベートーヴェン・ピアノソナタ全曲演奏会を行います。今日がその初回でした。
プログラムは・・・
ピアノソナタ第20番ト長調
ピアノソナタ第17番ニ短調「テンペスト」
ピアノソナタ第29番変ロ長調「ハンマークラヴィーア」
第20番はレーゼル本人が「もっとも簡単なソナタ」と呼んでいるそうで余裕たっぷりの演奏。まるで孫を可愛がっているような感じで楽しそうに弾いていました。
第17番「テンペスト」は誠実な演奏ぶりで大変立派なのですが何か物足りない感じでした。私自身この作品にはドラマチックな演奏を求めているところがあるからかもしれません。
第29番「ハンマークラヴィーア」はこの作品を初回公演から持ってくること自体大変な驚きです。誰かさんを思い出してしまいます(笑)
「ハンマークラヴィーア」をライヴで聴くのは9年ぐらい前にハイドシェックの名演奏で堪能して以来2回目なのですが、今日はこの演奏が一番素晴らしかったです。
第1楽章、第2楽章の推進力。第3楽章の心が込められた演奏。第4楽章の圧倒的なテクニック!とにかく作品の素晴らしさがダイレクトに伝わってくる演奏でした。
アンコールは1曲。
曲目をアナウンスしませんでしたが弾き始めてすぐにわかりました。
ベートーヴェン:6つバガテルより第1曲。
3か月半前にハイドシェックの名演奏で3回も聴いた曲です。
この演奏もとてもよかったです。
全公演に行くのは無理ですが機会があればまた行きたいと思います。
- ハイドシェックのフォーレ(その6)
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2008.09.18 Thursdayハイドシェックのフォーレアルバム以外のフォーレの録音です。
キングインターナショナル KDC7(1991年録音) 宇和島ライヴ3
夜想曲第8番、第11番が収録されています。
若いころの録音よりさらに深みが増した名演。
テイチク TECC-28065(1990年録音 廃盤)
ターニャ夫人との共演で「ドリー」の2回目の録音です。
この録音もご夫妻の息はピッタリです。現在は廃盤です。
仏EMI 7243 5 85222 2 8(1962年録音 廃盤)
「主題と変奏」。LP時代は夜想曲集にカップリングされていました。
2004年に仏EMIよりCD化されましたが現在は廃盤です。
- ハイドシェックのフォーレ(その5)
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2008.09.17 WednesdayハイドシェックのCASSIOPEE盤フォーレの第3弾。
CASSIOPEE 969 187(1973年録音)
収録曲は・・・
ピアノとオーケストラのための幻想曲
ピアノとオーケストラのためのバラード
(オケの指揮はR.ベンツィ)
+前奏曲集(全9曲)。
元々LPで発売されたときは幻想曲とバラードの2曲のみで前奏曲集は収録されていませんでした。幻想曲とバラードが各13分強の演奏時間で全部で26分半ぐらいしかないためCD化した際に収録時間があまりにも短いのでその埋め合わせとして前奏曲集を追加したものと推測します。前回ご紹介した音源と同じものだと思います(多分・・・)。また、共演者もラスキーヌ、ドゥーカン、クリヴィヌ、ピドゥーなど名手揃いで演奏も素晴らしいと思います。
ピアノとオーケストラのための幻想曲とバラードはあまり耳にする機会がなく大変貴重な録音です。両曲ともフォーレにしては何となく華やかな感じがします。共に大変美しい曲ですので機会がございましたら是非お聴きになってみて下さい。
ちなみにCASSIOPEEの録音はコンサートホール「サル・ガヴォー」を貸切にして地下鉄の騒音を拾ってしまわないように終電と始発の間の時間に行われたとのことです。本当に手間のかかった贅沢な録音ではありますがそれだけに音質は極上です。
- ハイドシェックのフォーレ(その4)
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2008.09.16 TuesdayハイドシェックのCASSIOPEE盤フォーレの第2弾です。
CASSIOPEE 969 190(1974年録音)
収録曲は・・・
前奏曲集(全9曲)、ドリー、バイロイトの思い出。
ドリーとバイロイトの思い出はターニャ夫人との共演です。
前奏曲といえばショパンやドビュッシー、ラフマニノフ、ショスタコーヴィッチ、メシアンなどの作品が思い浮かびます。これらの有名な作品と比べるとフォーレのはほとんど目立たない存在になってしまっていますが聴いてみるとこれがなかなか魅力的な作品です。全部で9曲ありますが1909年から1910年の短い期間に作曲されていて一つのまとまった作品のようなつながりがよい感じがします。ハイドシェックも番号順に演奏しています。フォーレの音楽って本当に心が癒されます。
ドリーは「子守唄」、「ミ・ア・ウー」、「ドリーの庭」、「キティ・ワルツ」、「優しさ」、「スペイン舞曲」の6曲からなっています。フォーレがかわいがっていた少女に捧げられたとのことでとても愛らしい曲です。ハイドシェック夫妻の息はさすがにぴったりで素晴らしい演奏だと思います。
バイロイトの思い出はフォーレの友人メサジュとの共作です。あまりフォーレらしくない感じです。私はこの演奏で初めてこの曲を聴きましたがほとんどワーグナーの「指輪」のパロディです。聴いていて思わず笑ってしまいました。もう楽しくて仕方がなかったです。
- ハイドシェックのフォーレ(その3)
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2008.09.15 MondayハイドシェックはフランスのCASSIOPEE(カシオペ)というレーベルにたくさんの録音を残しておりフォーレも3枚の録音があります。
そのうちの一枚に13の舟歌集があります。
CASSIOPEE 969 211(1978年録音)
先にご紹介した夜想曲集もそうなんですが舟歌集はフォーレの創作活動期の全般にわたって作曲されています。
舟歌は元々は船頭さんが舟を漕ぐ際に口ずさんでいた歌だという事のようなのですが、波間に揺れているような印象を与える低音の比較的単純なリズムの上にメロディーがのっているような感じの曲です。
この曲集を聴いていると何となくヴェネチアのゴンドラに乗っているような気分がして時間がゆっくりと流れていくような感じがします。私自身はヴェネチアに行ったことはありませんしゴンドラに乗ったこともありませんが・・・
フォーレの舟歌集は多くのピアニストによっていくつかの録音が残されていますがやはりハイドシェックのCDは素晴らしいです。「ディスク大賞」も獲得しています。
この舟歌集も順番を自由に並べ替えて演奏しています。
ただ残念なことは正規輸入元がないため日本では極めて入手が困難であるということです。本当に素晴らしい名盤なので日本でも容易に入手できるようになればいいなと思います。
- マグネットの野球日記2008.9.14
- ハイドシェックのフォーレ(その2)
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2008.09.13 Saturdayハイドシェックのフォーレ第2弾です。
前回紹介した夜想曲集は20代前半の若い頃の録音でしたが今回は1993年の50代後半の録音を紹介します。
1993年といえばあの宇和島ライヴで一世を風靡していた時代です。
世間一般では働き盛りのバリバリの年頃です(笑)
この頃のハイドシェックは宇和島ライヴの他テイチクによるパリでのスタジオ録音やビクターによるモーツァルトのソナタ全集、協奏曲選集の録音を同時進行で行っておりとても忙しい時期でありました。
そんな中パリでスタジオ録音されたこの一枚。「フォーレ・リサイタル」。。
キングインターナショナル KDC9(1993年録音)
収録曲は・・・
即興曲(全5曲)、8つの小品、ヴァルス・カプリス(全4曲)の全17曲。
これらの中で8つの小品の第8番は後に夜想曲集第8番に組み込まれた曲です。
通常は各曲集をまとめて演奏して録音するのですがハイドシェックは違います。
各曲集の順番を入れ替えるどころか全17曲を自由に並べ替えて演奏しています。
でもそのことによって一つの大曲を通して聴いたような錯覚に陥ります。
まるでフォーレが最初から長大な幻想曲を作曲したかのように!
私はこの演奏を聴いていると長い夢の世界を彷徨っているような感覚になります。
そして最後の一曲が終った頃には演奏の虜になっていてもう一度夢の世界を味わいたくなります。
演奏そのものもウィットに富んでいて、20代の頃の演奏とは別の魅力を感じます。
このCDも夜想曲集と並んでお勧めです。